退職金2,000万円にかかる税金と手取りはいくら?老後自己破産を防ぐ賢い使い方
今回のテーマは、「退職金2,000万円にかかる税金と手取りはいくら?老後自己破産を防ぐ賢い使い方」についてわかりやすく解説します。
あなたは、「退職金2,000万円」と聞くと大きな金額なので、「老後は年金と退職金で悠々自適な生活ができる!」と思ってしまいがちですよね。
しかし、実際には、退職金2,000万円という金額があったとしても、個人個人の生活水準にもよりますが、老後の生活資金としてはギリギリなのです。
退職金2,000万円にかかる税金や税引き後の手取り額、退職金お賢い使い方を今のうちから正確に知らないと、老後自己破産を防ぐこともできません。
この記事のテーマである【退職金2,000万円にかかる税金と手取りはいくら?老後自己破産を防ぐ賢い使い方】では、退職金2,000万円にかかる税金と手取り額、老後自己破産を防ぐために今からできる賢い使い方についてお伝えしていくので、ぜひ最後まで読み進めてくださいね。
退職金2,000万円が平均なの?税金と手取り額はいくら?
退職金の平均額は2,000万円と言われていますが、平均額2,000万円は大企業が中心となった退職金額の平均額なのです。
もし、あなたが今、大企業の正社員を勤めているなら退職金2,000万円を貰える可能性があります。
しかし、日本人のほとんどが大企業の正社員であるわけがありませんよね。
ここでは、仮に退職金2,000万円が貰えると仮定した話で進めていきます。
退職金2,000万円であったとしても、退職金2,000万円が丸々手元に入ってくるわけではありません。
退職金2,000万円から税金が差し引いた手取り金額こそが、あなたが得られる本当の退職金になります。
では、退職金2,000万円の実態を紐解いていきましょう。
退職金2,000万円が日本人サラリーマンの平均額って本当?
日本経済団体連合会と東京経営者協会が2022年に発表した【2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果】によると、退職金の平均額は2,000万円を超えています。
実は、詳しくみていくと、「管理・事務・技術労働者(総合職)」の60歳では、大学卒(勤続年数38年)が2,243.3万円、高校卒(同42年) が1,953.0 万円となっているのです。
退職金の平均額2,000万円を超えていると言っても、実際は大学卒の人であって、高校卒ではギリギリ2,000万円届かないのです。
しかし、【2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果】の調査対象、経団連所属企業、つまり大企業が中心なのです。
日本企業の9割は中小零細企業になるので、大半の人の退職金額はもう少し低めと言わざるを得ないでしょう。
退職金2,000万円で支払う税金と手取り額はいくら?
退職金2,000万円で支払う税金や手取り額は、勤続年数などによって変わってきます。
「退職金」いわゆる退職所得は、退職後の生活保障のためのお金と考えられているため、税金の負担がとても少なくなっています。
退職金は老後資金にも関わらず、多くの税金が取られてしまうと、老後生活で苦しむ人が増えてしまうための税率は低いのです。
退職金の税金は、受け取った額の全てに税金がかかるわけではありません。
支給される退職金から退職所得控除を差し引き、残りの50%に対して所得税と住民税が税金としてかかってきます。
退職金(退職所得)は、次の3段階で税金が計算されます。
1:(退職金の支給金額ー退職控除金額) × 1/2 = 課税退職所得金額
2:課税退職所得金額 × 所得税の税率 – 控除額 = 基準所得税額
3:所得税額 + 基準所得税額 × 2.1% = 支払う所得税及び復興特別所得税
退職所得控除の計算式
勤続年数 | 退職所得控除 |
---|---|
勤続年数20年以下の場合 | 40万円 × 勤続年数 |
勤続年数20年超の場合 | 800万円+70万円 × (勤続年数 – 20年) |
800万円+70万円 ×(38年 – 20年) = 2060万円
退職所得控除額が2060万円と2000万円を越えるため、税金はかかりません。
所得税の税額表
2015年(平成27年)降の所得税の税率は、5%から45%の7段階に区分されています。
課税所得金額に対する所得税率と控除額を確認してみましょう。
税率 | 控除額 | |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5.0% | 0円 |
10.0% | 97,500円 | |
3,300,000円~6,949,000円 | 20.0% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23.0% | 636,000円 |
33.0% | 1,536,000円 | |
18,000,000円~39,999,000円 | 40.0% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45.0% | 4,796,000円 |
【参照・引用元:国税庁「所得税の税率」】
では、実際に、大学卒で勤続年数35年の方を例に、退職金2,000万円が支払われた場合の税金と手取り額を計算してみましょう。
退職金 | 2,000万円 |
退職所得控除額 | 800万円 + 70万円 × (35年-20年) = 1,850万円 |
課税退職所得金額 | (退職金の額【2,000万円】 – 退職所得控除額【1,850万円】) × 1/2 = 課税退職所得金額【75万円】 |
所得税額 | 課税退職所得金額【75万円】 × 所得税率【5%】 – 控除額【0円】 = 所得税額(基準所得税額)【3万7,500円】 |
所得税及び復興特別所得税の額 | 所得税額【3万7,500円】 + 基準所得税額【3万7,500円】 × 2.1% = 所得税及び復興特別所得税の額【3万8,287円】 |
3万8,287円 | |
手取り額 | 19,961,713円 |
【参考・引用元:マンション経営大学「退職金の平均額(大卒)約2,000万円で支払う税金はどのくらい?」】
課税退職所得金額の75万円に対して住民税(10%)もかかるので、あなたの住んでいる自治体ごとで変わってきます。
実際は、課税退職所得金額に対して住民税(10%)を差し引いた金額となりますが、退職金2,000万円の大まかな税金や手取り額について、把握できたかと思います。
退職金(退職所得)で注意しなければならないのが、勤めている会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないと支給額の20%が源泉徴収されてしまうと、無駄に税金を多く取られてしまします。
もし、徴収された20%は、後で確定申告をすれば返ってきますが、手間がかかる上に確定申告が漏れてしまった場合には戻ってこないので、事前に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておくことが重要になります。
退職金2,000万円を賢く使って老後自己破産を防ぐ方法とは?
退職金2,000万円を賢く使って、老後を豊かに生活していきたいと思っている人がほとんどですよね。
でも、現実的に老後自己破産している人も存在しているのです。
退職金にかかる税金は、退職金の全体から見れば、思ったよりも少額でしたよね。
しかし、退職金にかかる税金が少額ですら惜しくなるほど、老後生活の現実は厳しい実態があります。
年金制度の崩壊が懸念されたり、年々年金支給額が減ってきたりしている2023年の今、退職金や年金以外の自立した資産を老後までに、どれだけ確保することができるかが、悠々自適に老後を生き抜くための鍵となっているのです。
あなたが「老後自己破産の心配」や「老後生活に不安を残さない」ためにも、今できる方法をみていきましょう。
退職金と年金を合わせた老後資金のシミュレーション
あなたは、「退職金と年金で老後生活できるのか?」気になりませんか?
今すぐ、退職金と年金を合算させた老後資金のシミュレーションが簡単にできる方法があります。
全国銀行協会をはじめとした金融機関では、家族構成や収入状況・将来の計画などを入力することで、未来の収支状況をグラフで確認することができる「ライフプランシミュレーション(老後資金シミュレーション)」を無料で公開しているのです。
- 金融庁:ライフプランシミュレーション
- 全国銀行協会:ライフプランシミュレーション
- JAバンク:老後資金シミュレーション
ぜひ、無料公開されている「ライフプランシミュレーション(老後資金シミュレーション)」を利用して、退職金と年金以外に、あなたの老後生活にいくら必要なのか分析し、老後に向けた資産準備を進めていく、よい機会にしてくださいね。
退職金2,000万円を賢く資産運用で老後自己破産を防ぐ方法
退職金2,000万円を賢く資産運用して老後自己破産を防ぐことが大切です。
退職金2,000万円というのは、日本人の平均退職金額より高いです。
しかし、退職金2,000万円あったとしても、油断していると退職後あっという間になくなってしまいます。
さらに言うと、あなたの老後の生活水準をどう考えているのかにもよります。
事実、退職金と貯金をしっかりしておけば、豊かな老後生活が送れると思っていた人が、思わぬ出費で老後資金が底をつき、老後自己破産に陥ってしまう場合があります。
もし、あなたが老後をむかえたときに、老後資金が偶数月の年金しかあてがなく、新たな収入源を確保し、増やしていく術がほとんどありません。
ますます年金だけに頼れなくなった2023年の今、退職金がもらえる人は賢く資産運用して、貯蓄を増やしていくことは必須事項なのです。
【まとめ】退職金2,000万円でケチケチ節約生活ではなく、悠々自適な老後のために賢い資産運用!
【退職金2,000万円にかかる税金と手取りはいくら?老後自己破産を防ぐ賢い使い方】について、私の経験と共に解説してきました。
日本の定年退職年齢が65歳とした場合、老後の期間は20年以上とも言われている中で、退職金2,000万円(大企業の平均退職金額)だけでは全然安心できる金額ではありません。
もちろん、日本人のほとんどは中小零細企業なので、退職金2,000万円も貰うことはできません。
仮に、退職金2,000万円の一部を資産運用していくことで、ゆとりある老後生活が送れる可能性があり、大病など万が一の事態にも備える必要もあります。
老後も継続して働いていくという選択肢もありますが、2023年の令和時代は、あなたの労働で得たお金に働いてもらうという考え方を持ち賢い資産運用をしていくことが大切です。
今回、お伝えした退職金2,000万円を賢く使って、老後自己破産を防ぐ方法を探し始めてみることから進めていきましょう。
老後の資産運用については、【 老後の資産運用(投資)に失敗しないポートフォリオと借金を負わないおすすめ方法】の記事で具体的に解説しているので、老後のための資産運用を始める前に読んでもらえれば参考になると思います。
あなたが、まだまだ現役時代であれば、退職金2,000万円の使い道をしっかり組み立てることと、退職金をあてにしなくても十分な生活ができるように、今から本業以外の収入源を複数作ることも併せて進めることをおすすめします。
最後に、退職金2,000万円に頼ったケチケチ節約生活ではなく、今から新しい収入源を作りつつ、悠々自適な老後のために賢い資産運用を進めていきましょう。