老後に必要な貯金額で安心できる目安はいくらぐらい?独身者と夫婦で違う老後資金を徹底解説
今回のテーマは、「老後に必要な貯金額で安心できる目安はいくらぐらい?独身者と夫婦で違う老後資金を徹底解説」についてわかりやすく解説します。
2023年現在の日本の老後生活において、公的年金(厚生年金・国民年金)だけでは老後生活を過ごしていけない状況になっています。
少子高齢化の影響により、年金の受給開始年齢は65歳から受け取ることが可能ですが、今後の年金支給開始年齢を70歳に引き上げる検討がなされるなど、老後の自己負担額は益々増えていくことが予想されているからです。
不安な材料が多い老後生活を公的年金や、退職金・貯金に頼って生活していくの非常に危険ですよね。
老後資金を貯金だけではなく資産運用(投資)していくことで、現役時代の今から始めることがとても重要になってきます。
この記事のテーマである【老後に必要な貯金額で安心できる目安はいくらぐらい?独身者と夫婦で違う老後資金を徹底解説】では、あなたの老後に必要な貯金額の目安を知り、安心して老後生活を過ごすための準備に役立つ情報をまとめているので、ぜひ最後まで読み進めてくださいね。
老後貯金の平均額はいくらぐらい?
「老後貯金の平均額はいくらぐらいなのか?」60歳以上の平均貯金額を見ていきましょう。
老後貯金の平均額は、独身者と夫婦の場合で違ってきますが、単純に夫婦が独身者の2倍というわけではありません。
金融広報中央委員会の「家系の金融行動に関する世論調査」の情報を元に詳しくみていきましょう。
本題に入る前に、貯金と貯蓄の違いについて、あらためて意味を確認しておきましょう。
貯金と貯蓄の違いとは?
「貯金」とは、「お金を貯めること」または「貯めたお金のこと」です。
銀行や郵便局などの金融機関にお金を預けたり、自宅の貯金箱やタンス預金にお金を貯めていくこと、会社の財形貯蓄や定期預金も「貯金」に含まれます。
また、「貯金」と「預金」は両方とも「お金を貯める」という意味ですが、微妙な違いがあります。
貯金:ゆうちょ銀行、JAバンク、漁協組合などにお金を預けること
預金:銀行、信用金庫、信用組合といった民間の金融機関にお金を預けること
「お金を貯めること」を総称して「預貯金」という言い方もします。
「貯蓄」とは、「金融資産の総称」です。
貯蓄は、預貯金をはじめ、株式や投資信託、不動産といった投資商品、保険や個人年金などの資産全体を指します。
独身者の老後貯金の平均額はいくらいぐらい?
独身者の老後の平均貯金額は、1,410万円です。
金融広報中央委員会の「知るぽると」が調査した令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]を参照すると、60代独身世帯の金融資産全体の貯蓄額は、平均値で1,388万円、中央値で300万円、その中の貯金額の平均が691万円なので、金融資産全体の半分以上を預貯金が占めていることになります。
貯蓄額を金融商品別でみてみると、預貯金【37.0%】、保険【14.7%】、有価証券(債券・株式・投資信託)【31.4%】、その他金融商品【4%】となっています。
約4割近くの人が、預貯金として貯めていることがわかりますね。
夫婦の老後貯金の平均額はいくらぐらい?
夫婦世帯の老後の平均貯金額は、1,862万円です。
金融広報中央委員会の「知るぽると」が調査した令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を参照すると、60代夫婦世帯の金融資産全体の貯蓄額は1,819万円、中央値で700万円、その中の貯金額の平均が834万円なので、金融資産全体の約45%以上を預貯金が占めていることになります。
平均値:データの合計数をデータの個数で割った値
中央値:データを大きい順(または小さい順)に並べて、真ん中にくる値
(例)62、39、88、75、27の5つの数字があった場合
平均値:(62+39+88+75+27) ÷ 5 = 58.2
中央値:27、39、62、75、88 → 62
老後に必要な貯金額で安心できる目安はいくらぐらい?
実際に、あなたの老後に必要な貯金額で安心できる目安はいくらぐらいなのでしょうか?
老後に必要な貯金額の目安について、1つずつみていきましょう。
老後に必要な預金額は、独身者でも夫婦でも「老後をどう過ごしたいか?」「老後に何をしたいか?」によって大きく変わっていきます。
あなた自身が「どのような老後を過ごしたいのか?」を真剣に考えていないなら、ここでページを閉じてください。
ここからは、老後に対して今から、きちんと向き合える方は続きを読み進めてくださいね。
老後に必要な貯金額の目安1:独身者の老後
独身者世帯の老後に最低限必要な貯金額と、老後にやりたいことを楽しむために必要な貯金額をみていきましょう。
総務省が2021年(令和3年)に行った調査(家計調査年報)によると、65歳以上の独身者世帯の実収入の月平均は135,345円ですね。
実収入のうち89.0%の120,479円が社会保障給付(年金)となっています。
実収入の月平均は135,345円から、支払いを義務づけられている税金や社会保険料などの支出(可処分所得)を差し引くと、実際に使うことのできるお金の月平均は123,074円となりますね。
また、消費支出の平均は132,476円です。
実際に使える月平均より、消費支出の平均が上回っているのがわかりますね。
消費支出132,476円から可処分所得123,074円を引いた金額9,402円が不足分、つまり貯金などで補っていかなければならないお金となります。
「9,402円の不足分 = 赤字分」には、あなたの葬儀費用や介護費用なども含めた金額を合わせて算出していきます。
介護費用は、生命保険文化センターの2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用のうち月々支払っている費用は1カ月当たり平均で8.3万円となります。
また、鎌倉新書「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかる費用の総額は約111万円となっています。
独身者の老後の最低限必要な貯金額
(1)毎月の赤字額:282万円 = 9,402円(毎月の赤字額) x 12ヵ月(1年間の赤字額) x 25年間(老後の生活期間)
(2)葬儀費用:111万円
(3)介護費用:498万円 = 8.3万円 x 12ヵ月 x 5年間(介護期間)
毎月の赤字額〔282万円〕+ 葬儀費用〔111万円〕+ 介護費用〔498万円〕
独身者の老後の最低限必要な貯金額:891万円
上記の他に、賃貸物件に住んでいる人ならば家賃、持ち家に住んでいる人なら住宅ローンが含まれます。
また、住宅ローンが完済していても、老後のために段差をなくしたり、手すりをつけたり、老朽化によるリフォーム費用がかかることも予想されるので、最低限必要な貯蓄額に追加して考えておかなくてはいけません。
やりたいことを楽しむために必要な貯金額
独身者がゆとりある老後生活を過ごすために必要な貯金額は、5,331万円です。
豊かで悠々自適な老後生活の中で、旅行に行ったり、趣味を始めてみたり、長年の夢だった○○○屋さんを開業してみたりと、あなたが描いた老後を過ごしたいですよね。
現役時代にしたくてもできなかったことを老後で始めようと考えている人も多くいます。
老後に、やりたいことを楽しみながら、ゆとりある生活を過ごすために必要な貯金額を算出してみましょう。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、老後の最低日常生活費以外に必要と考えられている金額の平均は月額で14.8万円です。
先程の単身者世帯の最低限必要な貯金額891万円に、この平均額14.8万円から算出した金額を上乗せしていきます。
14.8万円(毎月の必要金額)×12カ月(年間の必要金額)×25年間(老後の生活期間)=4,440万円
4,440万円+891万円(単身者世帯の最低限必要な貯金額)=5,331万円
独身者がゆとりある生活を送るために必要な貯金額は、5,331万円
老後に必要な貯金額の目安2:夫婦の老後
夫婦世帯の老後に最低限必要な貯金額と、老後にやりたいことを楽しむために必要な貯金額をみていきましょう。
総務省が2021年(令和3年)に行った調査(家計調査年報)によると、65歳以上の夫婦世帯の実収入の月平均は236,576円ですね。
実収入のうち91.5%の216,576円が社会保障給付(年金)となっています。
実収入の月平均は236,576円から、支払いを義務づけられている税金や社会保険料などの支出(可処分所得)を差し引くと、実際に使うことのできるお金の月平均は205,911円となりますね。
また、消費支出の平均は224,436円です。
実際に使える月平均より、消費支出の平均が上回っているのがわかりますね。
消費支出224,436円から可処分所得205,911円を引いた金額18,525円が不足分、つまり貯金などで補っていかなければならないお金となります。
「18,525円の不足分 = 赤字分」には、あなたの葬儀費用や介護費用なども含めた金額を合わせて算出していきます。
介護費用は、生命保険文化センターの2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用のうち月々支払っている費用は1カ月当たり平均で8.3万円となります。
また、鎌倉新書「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかる費用の総額は約111万円となっています。
夫婦世帯の老後の最低限必要な貯金額
(1)毎月の赤字額:555万円 = 18,525円(毎月の赤字額) x 12ヵ月(1年間の赤字額) x 25年間(老後の生活期間)
(2)葬儀費用:222万円 = 111万円 x 2人
(3)介護費用:996万円 = 8.3万円 x 12ヵ月 x 5年間(介護期間) x 2人
毎月の赤字額〔555万円〕+ 葬儀費用〔222万円〕+ 介護費用〔996万円〕
夫婦世帯の老後の最低限必要な貯金額:1,773万円
上記の他に、独身者と同じく賃貸物件に住んでいる人ならば家賃、持ち家に住んでいる人なら住宅ローンが含まれます。
また、独身者と同じく住宅ローンが完済していても、老後のために段差をなくしたり、手すりをつけたり、老朽化によるリフォーム費用がかかることも予想されるので、最低限必要な貯蓄額に追加して考えておかなくてはいけません。
夫婦でやりたいことを楽しむために必要な貯金額
夫婦がゆとりある老後生活を過ごすために必要な貯金額は、5,331万円です。
独身者と同じく、豊かで悠々自適な老後生活の中で、旅行に行ったり、趣味を始めてみたり、長年の夢だった○○○屋さんを開業してみたりと、あなたたち夫婦が描いた老後を過ごしたいですよね。
現役時代にしたくてもできなかったことを老後で始めようと考えている人も多くいます。
夫婦で、やりたいことを楽しみながら、ゆとりある生活を過ごすために必要な貯金額を算出してみましょう。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、老後の最低日常生活費以外に必要と考えられている金額の平均は月額で14.8万円です。
先程の夫婦世帯の最低限必要な貯金額1,773万円に、この平均額14.8万円から算出した金額を上乗せしていきます。
14.8万円(毎月の必要金額)×12カ月(年間の必要金額)×25年間(老後の生活期間)=4,440万円
4,440万円+1,773万円(夫婦世帯の最低限必要な貯金額)=6,213万円
夫婦世帯がゆとりある生活を送るために必要な貯金額は、6,213万円
また、老後のゆとりのための上乗せ額の使途を具体的には、「どのようなことに使っていきたいと考えているか?」のアンケートの結果になります。
上記の順となっていて、「旅行やレジャー(60.0%)」と最も高く、年々「耐久消費財の買い替え(31.7%)」が増加傾向となっています。
【まとめ】老後貯金額の安心できる目安は独身者5,331万円・夫婦6,213万円!
【老後に必要な貯金額で安心できる目安はいくらぐらい?独身者と夫婦で違う老後資金を徹底解説】について、私の経験と共に解説してきました。
あなたが描いている老後生活を実現するには、「貯金額がいくらぐらい必要なのか?」について、今回の記事で見えてきたのではないでしょうか?
老後は、現役時代とは異なった形で、何かとお金がかかります。
あなた自身の老後生活費の他に、親の介護費用や高額な医療費、子どもの結婚資金など、突発的な支出も想定しておく必要があります。
また、ゆとりある老後が過ごせるだけの貯金をしていても、想定外の出来事によって、貯金額が底をついてしまうこともあります。
例えば、子どもがうつ病などの病気で働けなくなり、子どもの生活費も負担しなければならなくなった場合などは、無きにしも非ずの一例でしょう。
現役時代も老後も、想定外の支出をあらかじめ織り込んでおくと、老後の生活費を貯金や退職金だけでまかなうのは、ほとんど難しいことがわかります。
今まで主流だった、老後生活のために貯めた貯金を使っていく生活から、貯金の一部を資産運用(投資)して増やしていく生活へと、思考と行動を切り替える必要があります。
現役時代の今から老後の貯金を資産運用(投資)に一部回すことは、ますます加速する少子高齢化に対して、あなた自身が対策できる適した考え方といえます。
ただ、今まで資産運用(投資)をしたことのない人にとって、貯金の一部であっても老後の貯金を資産運用(投資)していくというのは勇気が必要になります。
資産運用(投資)することに一歩勇気がでない人のために、資産運用(投資)が初めての人でも安心できる方法を【老後の資産運用(投資)に失敗しないポートフォリオと借金を負わないおすすめ方法】で詳しく解説しているので、ぜひ読み進めてくださいね。
資産運用(投資)は、正しい選択をすることで、借金を負うことなく資産を増やしていくことが可能なのです。
「あなたの老後生活のための貯金がいくらぐらい必要なのか?」を知った上で、資産運用(投資)を始めていくことで、あなたが理想するゆとりある老後生活を過ごす鍵となり得るのです。
資産運用(投資)で失敗しない方法をしっかり勉強し身につけて、継続的に利益を積み重ねられるように、今から備えていきましょう。
最後に、老後貯金額の安心できる目安を知った上で、老後生活を豊かで悠々自適に過ごしていくにも、現役時代の今から貯金額の一部を有効活用して資産運用(投資)で継続的に利益を積み重ねていきましょう。